水琴窟

庭園:作庭・「水琴窟



「水琴窟」は、庭園の作庭技法のひとつである。

蹲い(つくばい)や手水鉢(ちょうずばち)の下に、排水装置として瓶をさかさまにして埋めたのが起源で、文献上「洞水門」と呼ばれていたのがいつかしらず「水琴窟」という名が付けられたようである。

その洞水門の造作は江戸期、小堀遠州が16歳(18歳とも)で考案し、古田織部を驚かせたと伝わっている。排水装置としての工夫からの誕生であった。その後変遷を経て、昭和58年以降新聞やテレビで「幻の水琴窟」として関心を呼び、発掘・復元・新設がなされ、現在に至っている。造作には工夫が加えられ、

藤井造園・藤井稔氏考案の造作手法では、地中の掃除も可能となっている。

音の発生は、手水鉢からあふれた水が玉石の隙間を流れ、瓶の底の小さな孔から水滴の一群となって、瓶の空間を落下し、底に溜まっている水面に触れた衝撃音が反響して、地上に立ち上がってくる。文字にその音の表現はなかなかむつかしい、風呂場で、湯船に水滴が落下した時に聞こえる音の、完成度の高い音が似ているといえる。ピン・ピヨン・ピシャという破裂音をミックスして、洗練させて、優美にゆらいだ音といえばいいだろうか。

完成度が高いということは、しずくのでき具合にかかっている。しずくの先が小さかったり尖っていれば良くなく、適度にふくらみ、重量があり、その重みがつくりだすゆっくりとした落下に、後をおいかけるしずくがついていれば最高である。

水面に触れた先のしずくが後のしずくを閉じこ め  たとき、音は完成する。最も地上の人々に達するまで瓶の中の空気の影響もうける。そして瓶自身、地中の状態、外気の具合、周囲の状況、ひいては聴く当人の心理状態にも左右される。まさに人のはからいを超えた音である。従って接するに、知識は無用ということとなる。
この音に魅せられ、室内に屋外にと、新しい考案の水琴窟も多く誕生している。

 

まずは、近くの「水琴窟」を訪ねていただきたい。全国には旧・新作の水琴窟のある箇所は多く、「当麻寺・西南院」(水琴窟大阪ネット第一番所)は、住職・山下密雅氏の深い思いで、1986年造作された。

この地の造作を指導したのが、中野之也・「日本の音研究所」代表。現代水琴窟の隆盛は、氏に負うところが大きい。

参考文献には、『幻の音風景・水琴窟』・日本リゾートセンター、『物理の散歩道』・岩波書店などがお奨めです。
 【写真】水琴窟を造る(実施:藤井造園)
上より ● 埋めるカメを造る→ ● カメを埋めるための穴を掘る→ ● 排水の整備→ ● 底をコンクリートで固める→ ● 海部分の仕上げ→ ● 音の確認をして完成

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